スカイフォールを観た!ゾディアックからのフィンチャー論

伊藤さんが熱く語ってたスカイフォールを観た。
たしかに伊藤さんが熱くなるくらい良い映画だった。
僕は007シリーズは実はカジノロワイヤルから観始めたので、イマイチ分からないネタがあったんだけど、007の50周年ということで、「あれ」と「これ」と「それ」はこれまでの007作品の引用があるんじゃないのかなと思いながら観てた。なので過去の作品を見る楽しみができた映画だと思う。
2点良いなと思う事を挙げると、1点目は007のテーマ曲 ここで流れるのか!って思ったこと。007シリーズをあまり観てこなかった007素人の僕からすると、あの有名なテーマ曲はオープニングで流れるものかと思ってたけど違った。DVDが出たばかりだからネタバレは書けないけど流れた瞬間の「ここで流れたー!きたあああああ!」ってなった。
2点目は、映像美要素が多くて、ヨドバシカメラのテレビコーナーで流れててもおかしくないくらい綺麗な映像描写が多かったです。OPも過去2作品と同じ雰囲気で、落ちて行くシルエットの感じがマッドメンぽくもあってこういう映像は本当に良いと思う。

スカイフォールOP

カジノロワイヤルOP
話が逸れますが、先月僕が趣味で作った音楽があるんですが、目指した曲のコンセプトとイメージは007のOPみたいなのを作りたいと思って製作しました。

グッド・ウィル・ハンティング~旅立ち~ [DVD]

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昨日たまたまTVKグッドウィルハンティングがやってたので久々に観た。
マットデイモンは殺しの天才とか、マフィアの1番弟子とか何かの能力が秀でてる役が多いイメージで、この映画は数学の天才である。
ある日、マサチューセッツ大学の数学専攻の生徒達が集まる廊下に新入生向けに教授達が張り出した「解くまでに何年もかかる数式の問題」。
勿論、生徒も教授陣も誰も解いた事はない。しかし次の日になると誰かが正解を導きだしていた。
それを発見した教授陣は唖然。「誰なんだ!これはノーベル賞級だぞ!」。
それを解いたのは、大学の清掃員をしている20歳のマットデイモン。小汚い格好で出自も孤児である彼はなんと数学の天才だったのだ。しかし幼い頃のトラウマにより内心に問題があり社会に出る事はほぼ不可能。しかし、ロビンウィリアムズが演じる心理学者と出会う事で社会性や恋愛を経験していくうちに生きてる実感と青春を手に入れていいくドラマ映画。

RIZE [DVD]

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涙無しでは観れなかったBSの高校生ラップ選手権の決勝バトルに感銘を受けたので、そういった8MILEのダンス版かな?と思って観たら、ぜんぜんそんな感じじゃない黒人の町おこし的なドキュメンタリー映画

ゾディアック 特別版 [DVD]

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3年ぶりくらいにゾディアックを観た。フィンチャーがベンジャミンバトンの前に撮った連続殺人事件を描いた映画。1968年に実際に発生した事件を実話にしていて、今もこの事件は解決されておらず未だに犯人が誰なのか分からない。
そんな内容なので、この映画には当然犯人は出てこない。ストーリーも犯人不在のまま進むから桐島部活みたいに”犯人=桐島”を取り巻く刑事・新聞記者・その家族達の環境が犯人ゾディアックの引力に吸い寄せられるようにガラガラと変わっていく。
これはフィンチャーが得意とする演出で、ベンジャミンバトンでは若返るブラピに振り回されたケイトブランシェット、ソーシャルネットワークではザッカーバーグに振り回されたアンドリューガーフィールド、ドラゴンタトゥーで自閉症だったルーニーマーラーもダニエルクレイグに恋をしていく。元はと言えばファイトクラブの名も無い主人公(エドワードノートン)がブラピに振り回されてたくましくなって行く以前にセブンですでにブラピも振り回されている。
振り回されて、振り回されて、違う環境に飛ばされたところで新境地を発揮ささせるのがフィンチャーの映画論なのかもしれない。
容疑者を特定できても証拠不十分で立件できない刑事達のもどかしさを、この映画の中でダーティーハリーの映画とセリフが強く代弁している。ダーティーハリーも証拠不十分で起訴できない容疑者スコルピオに対し、ハリー役のイーストウッドが法を無視して自らの裁きとしてスコルピオの背中を44マグナムで打ち抜く。
でも実際は法を無視した捜査ができないから刑事達は真犯人を忘れる事しかできない。変わりに主人公の記者が徹底的に事件を調べ直し真犯人を見つけ出すためにそれを1冊の本にする。その実際に真犯人を追った新聞記者が家族も顧みずに作った1冊の本「Zodiac」が原作になっているのがこの映画。原作者ロバート・グレイスミスとデビットフィンチャーの演出が合わさった最高の映画だと思う。